// 怪我をさせる

ギアッチョが意識のない女の子を抱えて血相を変えて飛び込んできたので、メローネとは2人で顔を見合わせ、すぐに白衣を羽織った。

任務中に敵の急襲があった。拳銃しか攻撃手段のないには対応しきれずギアッチョがホワイトアルバムで粉砕したが、まだ本調子じゃあなかったはいつもなら避けられる距離にいたにもかかわらずその冷気にあてられ意識を失ってしまったらしい。

「このくらいなら大丈夫だよ、ギアッチョさんも変わりましたね。血相変えて飛び込んでくるなんて…」
「うるせえ、他人を気にしながら戦うなんて向いてねーんだよ」
「それはギアッチョ自身の力不足じゃないか?」
「…わかってんだよ、そんなことは」

珍しく素直なギアッチョに、それきりからかうのはやめて治療に専念することにした。幸い軽い凍傷とショック症状だろうと部屋を後にするを見て不思議そうな顔をするギアッチョに、は他の義体には合わないんだとメローネが説明する。

「望んでなった自分とそれしか選択肢がなかった他人と、自分が恵まれすぎてて申し訳ないんだと。信じられるか?」
「…変わってんな」

そいつを妻にしたお前も、とは言わないでおいた。それは余計なことだ。

目が覚めたは、隣にいるメローネを見て、病室を見回して、そしてその真っ白さにため息をついた。

「私、ギアッチョさんに迷惑をかけてしまったんですね」
「そんなことはない、ギアッチョは君を心配していたよ」

励ますための嘘だと思ったのか、はゆるりと柔らかい表情をしただけだった。