// 優秀な能力

「メローネ!結果が出てます今回はすごいですよ前回と比べて効果が2倍に副作用が半分ですってやっぱりB薬の配合がカギだったんです冗談みたいにうまくいきました!」
「落ち着け、それはすごいな。値を調整したのはだったか?」
「はい!うまくいくとは思ってましたけど、まさかここまでなんて…!ねえメローネ、褒めてくれます?」
「ああ、ディ・モールト・ベネだ」

実験結果の書類を片手にくるくると回っていたを呼びよせて手袋で覆い隠した手で頭を撫でると、まるで子猫が喉を鳴らすように目を閉じる。その嬉しそうな表情は最初の無表情からは想像もできないもので、メローネは随分と成長したなあとどこか感慨深いものがあった。

は頭が良く、なんでも吸収した。そのスピードは目を見張るものがあり、今では誇張なしにメローネの右腕として活躍している。あんな小娘に研究なんて、と陰口をたたいていた研究員も中にはいたけれど、その優秀さに気づき口を噤み助言を求めるようになるまで時間はかからなかった。年齢に対する能力ならメローネさえ上回るのではないか。

小さな少女の末恐ろしい頭脳はメローネの興味の対象であったし、そんな言葉では覆い隠せない愛情も向けていた。書類上の立場である「父」としてではない、それはもっと別の、1人の女性へ向けるような愛だった。