私より先に暗殺チームに入ったのに、1人も殺した経験のないペッシ。気弱でいつもプロシュートのうしろをついて回って、私よりずっと甘ちゃんだった。なのに、よくがんばったよ。バラバラの身体は破片しか集まらない。川にでも流されてしまったのかな。直した身体はいびつで、ばらばらで、つながらない部分もあって。どれだけひどい殺され方をしたんだろうと胸が痛んだ。

プロシュートの隣にそっと並べて手を合わせる。ペッシは私と2人、末っ子コンビとして甘ったれのレッテルを張られていた。私たちは1人での任務を任せられることは最後までなかったね。私はホルマジオと、ペッシはプロシュートと、ペアで仕事をすることが圧倒的に多かった。もう少し時間がたてば、私の方が先に1人立ちしてペッシに自慢するはずだったんだけどなあ。

入った情報だと、プロシュートの方が先に死んだらしかった。尊敬する兄貴の死を見たペッシが、どれだけ絶望して、そして奮闘したのか、この身体を見ればわかる。がんばったね、ほんとうに頑張った。えらいよペッシ。

あの世があるのなら、プロシュートはペッシのことをほめてくれているだろうか。めいっぱい甘やかしてほめてあげて。こんなにがんばったんだから。

緑色の髪の毛がバラバラと顔にかかっていた。手で整えてもうまくいかなくて、どうやってセットしていたのその髪型。プロシュートと2人ならんで、穏やかな寝顔を見比べる。

2人で、仲良く待っていてよね。





兄貴の死を見届けて、心に宿った覚悟は命を燃やした。燃え尽きたカケラはどうやっても元に戻らないらしくって、は半分も元に戻らなかったペッシを見て、本当にがんばった、えらい、って、何度も何度も言ってくれた。

、ありがとう。俺の方が1年も早くチームにいたのに、その間の時間を感じさせないくらいのスピードで任務をこなしていくに、俺はいつも焦りと劣等感を抱いていた。お互い半人前、それぞれの兄貴と仕事を共にすることが多かったけど、いつかより先に1人立ちしたいって思ってたんだ。そこだけは譲れない、男としてのプライドだった。結局それはかなわなかったから、俺の負けだね。残念だ。

1人も殺したことのない俺を甘ったれ呼ばわりする癖に、自分は人を殺すたびに泣いてしまう甘ったれだった。末っ子どもはどうしようもねーなとみんなに言われれば、声をそろえて「そんなことない」って言って、それを笑われたりしたよね。なつかしいなあ。

にとっての兄貴、ホルマジオが死んだと聞いたとき、すっとの表情が死んだのを見た。この仕事が始まったときから無表情ではあったけど、本当に表情が死んだと感じた。不思議な感覚だった。自分にとってのプロシュート兄貴が死んでしまうことを考えて、それはとても恐ろしいことだと思った。だから、のためにも仇をとってあげたいと思ったんだ。

プロシュート兄貴が死んで、の気持ちがわかるなんて思ったことを反省した。他人の気持ちなんてわかるはずがないんだ。悲しいなんて言う言葉に収まる感情じゃあない。心の底から闇があふれて精神に覆いかぶさってくる、そんな感じ。今までの思い出が全部蘇って、憎しみで心を支配されてしまいそうだった。爆発せず感情を閉ざすことができたのは、それはとてもすごいことだ。やっぱり、は俺より優秀なんだなって、悔しくなった。

兄貴の隣に並べてくれてありがとう。少しだけ触れ合うくらいの距離に置かれた俺の身体に触れたの手は、あったかいのかな。