きらきらと太陽を反射する髪の毛は、青々と茂る草にまざってゆるゆると風に靡いた。戦場にいるときの姿からは想像もできないほど無防備。近づいて隣に腰を下ろすと、影になった睫毛が微かに動いた。起こしちゃうかな、と少し身構えたがそれは杞憂で、小さな声を漏らすと僅かに体を捻った。まるで子供みたいだ。くすくすと笑った声は風にさらわれて消えていく。私とあなた、2人だけ。あったかくてしあわせな時間。もう少しこのままでもいいけど、ねえ、あなたの声が聞きたい。


「レオン、」


一房だけ色の違う髪を指先でくるくると弄びながら、囁くように彼の名を呼ぶ。当然そんなもので起きるはずはなく、黙って横たわったまま。


「レオン、起きないとキスしちゃうよ」

「・・・それなら、もう少し寝ていよう」

「え・・・」


予想しなかった返答に下を向くと、眠たそうな目をしてこちらを見上げているレオンがいた。少し体を起こすと、そのまま私の膝に頭を乗せ、もう少し寝かせてくれとつぶやいた。


「ちょ、ちょっとレオン!何して…」


慌てて頭を下ろそうとしたけど、もうすでにレオンは眠っていた。こんな無防備な姿、私以外には絶対に見せられない。子供のような寝顔を独り占めできることが嬉しい。いつだって弱音を吐けない、不安なんてみせられない彼の立場の辛さがわかるなんてことは言わない、言えない。けれど少しでも理解したいと思う気持ちは人一倍だ。それをわかっているのかいないのか、彼は時折私のもとへ来る。それができないときには、こうして私の目につく場所に転がっていたりするのだ。愛しくて愛しくてたまらない、私だけの王子様。

この後また戦場へ出向いてしまうのであろう愛しい貴方に、せめて一時の休息を。



ひとやすみ


(・・・レオン、足痺れた)(ならば一緒に寝よう)(ま、また起きて・・・!)