はじける光、輝く光、みんなの笑顔。

憧れてたよりもずっと、ずっと素敵なお姫様。












扉が開いた先は、思っていたよりもずっとずっと広い部屋だった。

中央に赤い絨毯。両脇に並んだたくさんのテーブルには見知った顔。

お父さん、お母さん、ブン太のお父さんにお母さん。弟たち。

赤也に仁王。幸村くんや真田くんとか、ブン太の部活の仲間。

さっきの跡部くんに宍戸くん、他にもブン太の大会で見たことのある人たち。

ねえやっぱりこれって、ブン太、



、ほら」

「・・・うん、」



差しだされた手を取って歩き出す。にぎやかな拍手で迎えられた。

中央の絨毯が足音をすべて吸収する。

周りにこんなに人がいるのに、まるでブン太しか存在しないみたい。

そのくらい私はブン太でいっぱいだった。

奥にあるステージに上がると、ブン太は立ち止まって振り返った。

私も一緒に振り返る。みんながこっちを見ている。

急に緊張してきた。これから何するんだろう?

わからないわけじゃない、でもこんな突然。どうしたら良いかわかんない。

困ったようにブン太を見上げたら、いつもの笑顔。

それだけで安心してしまう。ブン太がいるなら大丈夫だ。何も心配ない。

ブン太が私の両手を取った。向き合うように体を向ける。

部屋がしぃんと静まり返った。



、」

「・・・は、い」

「俺と結婚してください」



わかっていたセリフ。でもいざ言われると実感する。

幼いころの記憶。お嫁さんにしてくれるって、お姫様になれるって。

その夢が今かなおうとしている。約束、覚えててくれたんだね。ありがとう。



「はい。・・・ありがとう、ブン太」

「・・・ほら、手だして」



左手で目に浮かんだ涙を拭おうとしたら、その手をとられた。

どこに持っていたのか、ブン太が小さな箱をとりだす。

放課後仁王と赤也にもらったのよりもずっと小さな箱。

中から出てきたぴんく色の石のついた指輪を、私の薬指にはめた。

時間が止まったかと思った。

さっき拭おうとした涙がぼろぼろと零れおちる。

優しく笑ったブン太がそれを拭ってくれて、また涙が落ちる。

ぐいっと腕をひっぱられて、突然だきしめられた。

耳元で「あんま可愛い顔すんな」とささやかれる。きっと顔が真っ赤だ。

俺にもはめて?そう言ってブン太はもう1つの箱を取り出す。

そっと開けると、小さな水色の石のついた指輪。

そっと取りだしてブン太の左手にはめると、ブン太はとても幸せそうな顔をした。

とたんに、どっと部屋の中が拍手で埋め尽くされる。今までブン太しか見えてなかった。

私たちはどちらからともなくキスをした。甘い、優しいキス。

お父さんもお母さんも見てると思うと少し恥ずかしかったけど、幸せだから気にしない。





「なあにブン太、」

「愛してる。絶対幸せにするから。世界で一番しあわせにするって、新しい約束」

「うん、まもってくれるって信じてる。だからね、」

「ん?」

「私だけの王子様でいて、ブン太だけのお姫様でいたい」



「当たり前だろぃ」





自信満々のブン太の笑い方。しあわせで胸がいっぱい。

ずっと夢みていたの。





私は今日、お姫様になりました。