今朝一人で外をのんびり散歩していたは、いつもは行列ができているケーキ屋さんが朝は空いていることに気づいた。せっかくだからと人数分買って帰り、おやつの時間に出してきたケーキはそれぞれ種類が違う。ソルベとジェラートなんかは悩んだ2つを半分こしている。いい年したゴツイ男同士があーんってしていても可愛くないな。

そんなことを考えながら、まあそれなりにほのぼのした午後の時間を過ごしていた。なのに、どんなに避けていても気づいたら近くにいるメローネは、が食べているプリンタルトを狙ってフォークを伸ばしてくる。

の、食べちゃおうかな」

皿を引いて手でガードして、メローネの隣に座るリゾットを見る。リゾットは無言でメローネが着ているパーカのフードを後ろに引っ張ってくれて、メローネと距離が空いてほっと一息ついた。

「自分のがあるでしょ。メローネのメロンタルト」
「うん、これもおいしいよ。が俺のこと思って選んでくれたんだろ?」
「いや、別にそういうんじゃないけど…」
「照れてるの?かわいいね」
「気持ち悪い」

辛辣!って笑うメローネは私の拒否なんかまったく届いていないんじゃないかと思うくらい楽しそうだ。

「ねえ、そのプリンタルトってに似てるね」
「え?どこが?」

私のタルトを狙うのは諦めたのか、メローネは残っていた自分のメロンタルトを一口で食べきると、もぐもぐと口を動かしながら両手で頬杖をつく。

「淡い黄色で、ふわふわしてるところ。の髪の毛にそっくりだ」

セクハラしてきたり風呂を覗いてきたりしない、普通にしているメローネは結構顔が良い。綺麗な目をうっすらと細めて私とプリンタルトを見るから、普段の「はいはい」ってあしらうようなやつじゃなく普通に褒められたような気持ちになって、少しだけ照れた。…と思ったのに。

「いいにおいがして甘いところも似てる。食べちゃいたいよ」

ぐいっと乗り出して私の髪の毛を一房掬い上げて、そっとキスをしてきた。びっくりしてのけぞってひっくり返りそうになったイスは隣にいたホルマジオが支えてくれてなんとか背中を打つのは回避したけれど、心臓は飛び出しそうなほど速くなった。

「ちょ、やだ、急に近づかないでよ…!」
「あはは、顔真っ赤。本当に食べちゃいたい」

それってどういう意味で、なんて聞けなかった。だってさっきまで楽しそうに細められていた目は、今は笑っていなくってすっと冷たい色をしているから。イスの背もたれに手を置いたままのホルマジオに勢いよく抱き着いて、本当にメローネ怖い!と泣き出した私をそれなりに雑に慰めながら、私のプリンタルトに手を伸ばすメローネの頭を思い切りひっぱたいてくれた。

メローネの「食べちゃう」って、本当にどういう意味か分からないから怖い。




食べちゃうぞが冗談に聞こえません


(だってメローネ、そういう趣味ありそうだし…)


お題:確かに恋だった 変態に恋されてしまいました5題