メローネと2人で任務なんて嫌だったけど、仕事は仕事。そういう日もある。もちろんリゾットやプロシュート、ホルマジオなんかの仕事を割り振る人はいつもとても気にして私とメローネをくっつけないようにしてくれているから、今日は本当に仕方がないんだ。

だから、今こうしてターゲットに見つかりそうになって狭いロッカーに2人でぎゅうぎゅうに収まっているのもいるのも、仕方がない。不慮の事故だ。さすがに仕事中はいつもみたいなおふざけをしない程度の分別はあるメローネは、私が怒りださないかヒヤヒヤした表情を向けている。仕事でいざというときに不安がるくらいなら、普段から気を付けてほしい。とか言ってる場合でもないので、私はそのヒヤヒヤした雰囲気を全部無視した。

ターゲットの気配が去ったので、ロッカーをそっと出る。

「メローネ、もういなくなったみたい。早く行こう」
「あ、うん…けど、ごめん、ちょっとだけ待って…」
「何?」

なんだかメローネがもじもじしているので、仕事中なんだからしゃきっとしろという意味を込めてきつめににらむ。そんな表情はメローネに反省を促す効果なんてまったくなくって、メローネは空気も読まずに小さな声で一言「勃った」と言った。

「…は?」
「だから、とくっついてて」
「言わなくていい、もう、本当にいい」
「でも、ほらみて」
「〜〜〜ッ!」

大声を上げそうになって、ターゲットが近くにいることを思い出し踏みとどまる。もう、メローネと仕事なんて本当にろくなものじゃない。

「私が行くから、メローネは此処にいて。なんなら帰っててくれてもいい」
「帰りはどうするんだい?」
「そんなの後で考えるわ、お願いだから黙ってここにいて、行ってくるからね」

メローネに付き合っていても仕方がない。私は1人ターゲットに近づき、あっさり始末した。伊達にキャリアをつんでいないので、大人を1人や2人殺すくらいなんてことない仕事だ。帰ろう、とメローネを置いてきた部屋を覗くと、意外にも大人しく座って待っていた。

「へえ、大人しく待ってるなんてできたんだ」
が待ってろって言ったんだろ?」

そういいながら腰に腕を回し抱き着いてくるので、鳥肌が一斉にたって拒否反応が出た。

「うわやめて、見てメローネこれ鳥肌」
「さすがにひどくない?」

やだ、むり、近づかないで!とじゃれるように言っていたけれど、最後の方は本気だった。だって、こんなふうにべたべたされたら。

「もーほんとうにやめて、変態が移る!」
「変態は移るもんじゃねーよ、ていうか俺は変態じゃあ、」
「変態じゃないなんて言わせない、許可しなーい!」



くっつかないでください移ります変態が


(もう二度とメローネと仕事はしない!)


お題:確かに恋だった 変態に恋されてしまいました5題