「なあ、俺の部屋から資料とってきてくれよ」
「うん?自分で行けば」
って俺には冷たいよな。なんでだ?」

じろ、と低い位置から睨む視線も、メローネは「ベネ」って喜ぶので腹が立つ。私がいつもいつも本気で怒ってるの、わかってないんだろうか。

「ギアッチョ、メローネなんで私に冷たくされてるのかわからないらしいよ」
「そいつはほっとけ。打ち合わせ続けるぞ」
「あ、だから俺の資料…」
「自分で行け」
がとってきて!」

メローネは一度言い出すと引っ込まないときがある。そういうときのメローネには何を言っても何をしても無駄で、素直に言うことを聞いてしまうのが一番早い。そういう態度が調子に乗らせる原因になるってわかってはいるんだけど、それで仕事に支障が出ても困る。

「しょうがないな。とってきたらそのあとはもう我儘言わないで打ち合わせちゃんとやるって約束できる?」
「するする。だから頼むよ」
「おい、甘やかすなよ」
「これ以上ダラダラされても困るでしょ。待ってて」

立ち上がってメローネの部屋へ行く。メローネの部屋は3階なのでリビングからは遠くてちょっと嫌だったけど仕方がない。変な試験管とか薬とか実験器具とかそういうのがいっぱいあるメローネの部屋は気持ち悪くて好きじゃなかった。だからあんまり入りたくなかったけれど、仕事の為なのでそっと開く。意外と綺麗好きなのか散らかっていない部屋の隅にある机はこれも整理整頓されていて、目的の資料はすぐに見つかった。というか、机に出ている。

机の上にあるなら降りてくるときに持って来なさいよと心の中で悪態をついて資料を手に取ると、1枚の紙がヒラリと落ちた。

「ん?なんだろ」

拾い上げたそれは。

「……ッ!!!メローネ!!!」

の寝顔だった。よだれはたらしていないからセーフとかパジャマはちゃんと着ているからセーフとかそういう問題じゃあない。こんな写真撮られた覚えはないし、私が寝ている部屋にメローネが入れる状況だったことだってないはずだ。なのにその背景は間違いなく私のベッドで。怒りのままに叫んだ怒鳴り声はアジト全体に響いたらしい。1番近い部屋から駆け付けたプロシュートが何事だと私の肩を掴むので、怒りのままにその紙を押し付けた。

「寝顔…?」
「メローネの奴、こんなもの、いつ…!」

階段を駆け上がってくる軽そうな足音はメローネのものだ。

「あ、あ、!見たのかい?よく撮れてて可愛いだろ、自信作なんだ!」
「私こんなの撮られた覚えないんだけど!」
「そりゃそうだろ、盗撮だからさ!」

怒りのあまり机を殴りつけた。拳が痛いのと写真が恥ずかしいのと全然悪いとも思ってない態度のメローネに泣きそうだ。怒りのあまり震える私に、プロシュートが「落ち着け」と声をかけて肩を叩いた。その言葉で、やっと深呼吸する余裕を取り戻す。

「メローネへのお仕置きは俺がやっといてやる。はそれ持って下降りて焚火でもしてろ」
「ありがとうプロシュート…!お仕置き、めいっぱいおねがい!」

一刻も早くその場を立ち去りたくて階段を駆け下りる。グレイトフルデッド!って上の階から聞こえてくるので、煙がこっちまで来たら困るしギアッチョのところに戻ろう。リビングに降りたらギアッチョが「今度はなんだ?」って聞いてきたので、私は盗撮写真を見つけてしまったことを話した。

「あー…暗殺なんかやってる俺らが言えたことじゃねーけどよ」
「うん」
「盗撮は犯罪だろ…」



盗撮が犯罪って知ってますか?


(リゾット、私の部屋の鍵増やして!)


お題:確かに恋だった 変態に恋されてしまいました5題