「王女、本日から召使として仕える者が参りました」

「お入りなさい」

「はじめまして、王女」

「っ・・・!」

静かに扉を開け入って来たのは、自分と同じくらいの年ごろの少年。幼くして召使になる者は珍しくない。家の事情などで、売られてくる者はいくらでもいた。彼女が驚いたのは、少年の容姿。鏡を見ているような錯覚に陥るほどそっくりな少年は、彼女を見ても驚いた顔は見せなかった。

「レン、と申します」

「…はじめまして。ずいぶん私とそっくりね」

うやうやしく頭を下げる少年に、にこりと笑顔を返す。もう何年も前から、周りの機嫌を損ねないために身につけた偽物の笑顔。少年、レンと一緒に入ってきた昔から仕えている家臣が話し始めた。レンは、私の身辺の世話を希望しているらしい。あいにくそれは間に合っているのだけれど。

「別に不自由しているわけじゃないけれど、いいわ。粗相があったら許さないわよ」

「かしこまりました、王女」